産後のイライラで自分を責めなくても大丈夫!その原因と向き合う方法を紹介

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産後、ちょっとしたことでイライラしていませんか?

つい家族に当たってしまい、自分を責めてしまうことはありませんか?

そんな日々が続くと、育児に前向きになれず、つい一人で抱え込んでしまうこともあるかもしれません。

 

産後のイライラは、ホルモンの影響や慣れない育児によるストレスが関係します。

イライラしてしまうことは、自然なことであり決して悪いことではありません。

この記事では、産後にイライラしやすくなる原因と向き合い方を丁寧に解説していきます。また、原因だけでなく自分の気持ちとの向き合い方を正しく知ることで、前向きに育児に取り組めるようにもなります。
産後のイライラでどうしても自分を責めてしまうママさんは、ぜひ最後まで読んでみてください!

 

産後のイライラってどんなもの?

そもそも産後のイライラとはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは「ガルガル期」と「産後うつ病」と呼ばれる2種類のイライラについて説明します。

 

産後ガルガル期

ガルガル期とは、産後のホルモンの影響により、精神状態が不安定になることを言います。ちょっとしたことでイライラしたり、警戒心が強くなり攻撃的な態度をとってしまったりする状態です。

 ちなみに「ガルガル期」は医療用語ではありません。子どもを守ろうとする防御反応から連想してこのように言われるようになりました。

産後ガルガル期は ホルモンバランスの影響と慣れない育児によるストレスなどにより、精神状態が不安定になっている状態で「マタニティーブルー」の一種とも言われています。

 

産後うつ病

産後のイライラは、産後うつ病の症状の一つでもあります。産後うつ病は、出産後に母親が抱く育児の不安やストレスから発症すると言われています。産後うつの症状はイライラだけではありません。症状にも個人差があり、原因もさまざまです。

 

産後のイライラの原因

次に、産後のイライラの原因について解説します。ここでは、特に影響力の強い2種類の原因について見ていきましょう。

 

ホルモンバランスの変化

産後にイライラしてしまう大きな原因は、ホルモンバランスの影響があります。妊娠中に多く分泌されていたエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)といった女性ホルモンは、出産後に急激に減少します。このホルモンの変動は、自律神経の働きが乱れる原因になります。自律神経とは、活発に動いているときに働く交感神経と休むときに働く副交感神経があります。自律神経の働きが乱れることにより、上手く心身の休息が取れず、精神的に不安定になりやすくなったり、イライラもその要因の1つです。

イライラしやすくなるのは体の自然な反応です。決して自分の性格に問題があるわけでもなく、コントロールできない自分が悪いわけでもありません。ホルモンバランスの影響が原因であるため自分を責めなくても大丈夫です。

 

慣れない育児によるストレス

赤ちゃんを出産すると、体がまだ完全に回復していない状態で、育児が始まります。

慣れない育児による緊張やストレス、不安があったり、夜間の授乳などで睡眠不足があるかもしれません。今までの日常生活とは全く違う生活が始まるので、赤ちゃんとの生活に慣れるまで相当なストレスがかかります。そのため、今までよりも些細なことでイライラしたり、感情を抑えられなかったりします。

 

産後のイライラと向き合う方法

産後は、イライラしてしまうママも多いものです。無理をせず、周囲に頼ることも大切です。

イライラの向き合い方を知ることで心の負担が減り、育児がラクになる方法を紹介します。

 

自分の本当の気持ちを知る

自分はなぜイライラするのだろうと考えたことはありますか?

イライラするのは表面上の感情(第二感情)で、その内側に本当の気持ち(第一感情)が隠れていることがあります。

イライラするのは、パートナーに期待していたからだ。

イライラするのは、育児を手伝ってくれる人がいなくて不安を感じているからだ。

など、人によってさまざまです。

自分の本当の気持ちに気づき、それを認めることで、気持ちが少し楽になることがあります。

 

                                                                                                                                                             

                                                                          

パートナーや家族とコミュニケーションをとる

育児は一人ではできません。パートナーや家族の手伝いが不可欠になります。

最近は、パートナーが育児休暇を取得し、24時間一緒にいることが多かったりします。

何をどうしてほしいか、思っていることを伝えていかないとストレスがたまり、イライラしてしまうかもしれません。

「言わなくても察してほしい」「それくらい言わなくてもやってほしい」など思っていても、実際には言わないと伝わらないことが多いものです。特にパートナーには、思っていることを伝えるようにしましょう。

パートナーが積極的に育児に参加することでママの負担が減り、イライラも軽減されます。

ママが一人で育児や家事をすることがないように、パートナーと役割分担を決めたり、家族に手伝ってもらえるよう協力してもらうことが大切です。

そして産後、困らないように、妊娠中からパートナーや家族と良好なコミュニケーションをとっておくようにしましょう。

 

周囲のサポートを積極的に受ける

産後にイライラやストレスを感じたり、精神的な負担を感じているときは、パートナーや家族に伝えて育児を手伝ってもらいましょう。

地域の保健センターで産後ケアや育児サポートの支援を利用することもおすすめします。保健師や助産師により育児や授乳の相談もでき、育児に関する不安や精神的な負担を軽減させることもできます。

家事の負担があるなら、宅配サービスや家事代行、産前・産後の女性に寄り添う産後ドゥーラは、家事や育児はもちろん、さまざまなサポートをしてくれるのでおすすめです。

 

自分の時間を確保しリフレッシュする

赤ちゃんのお世話に追われていると、自分の時間が全く取れずイライラしてしまうことがあります。

赤ちゃんを誰かに預けられるなら、数時間だけでも外出したり、好きなことをする時間をとることをおすすめします。ママという役割を少しの間手放して、一人の女性として自分の時間を楽しむことも大切です。リフレッシュでき、良い気分転換になります。常に赤ちゃんを見ていなきゃというプレッシャーから解放されると、また育児を頑張ろうと前向きな気持ちに切り替えやすくなります。

軽い運動やママ友とのおしゃべりもいいですね。

 

産後のイライラはいつまで続く?

産後のイライラは、個人差があり、一般的には、産後1〜3か月ごろでピークを迎えると言われています。その後は徐々に収まることが多いとされています。しかしママによっては、この状態が半年、さらには1年以上続く場合があります。

ママの体力や疲労感、生活環境、育児のサポート状況などがイライラを長引かせる要因になります。

たとえばパートナーや家族など誰も育児を手伝ってくれる人がいないと、一人で育児や家事を抱え込むことになり、身体的、精神的な負担が大きくなり、イライラを長引かせる要因になります。

 

こんな時は病院へ

単なるイライラだと思っていても注意が必要な場合があります。長期にわたってイライラの改善がみられない場合や産後うつの兆候がみられる場合は、心療内科や精神科に受診した方がいい場合があります。

まずは出産した病院か地域の保健センターで相談しましょう。

産後うつ病は、産後のホルモンバランスの乱れに加えて、出産後に母親が抱く育児の不安やストレスから発症すると言われています。

 

産後うつの病の兆候は次のようなものがあります。

 

・気持ちが落ち込む

・何事にもやる気が起きない

・疲れやだるさが続く

・何かあると自分を責める

・眠れない

・食欲がない

・わけもなく涙が出る

・赤ちゃんに興味がわかない、または極度に心配しすぎる

 

これらの症状が続く場合は、単にホルモンバランスによるイライラではなく、産後うつ病の可能性がみられるため、早めに心療内科や精神科に受診することをおすすめします。

 

まとめ

産後のイライラは、誰にでも起こり、自然な感情で決して悪いことではありません。

イライラのコントロールができず、パートナーや家族にぶつけてしまい、自分を責めてしまっているママもいるかもしれません。

でも、自分を責めなくても大丈夫。

産後のイライラは、ある程度は仕方のないことですが、その原因や向き合い方を知っているだけで気持ちの面でも随分変わってくるはずです。

 

パートナーや家族に「産後はイライラしやすいもの」ということを事前に伝えておきましょう。

 

イライラをうまくコントロールしつつ、育児を一人で抱え込むことがないよう、上手に周囲に頼りながら前向きに育児をしていきましょう。

 

この記事のライター

中村 吉江

中村 吉江

助産師
小児科看護師歴2年
現役助産師歴22年
ママ&ベビー訪問ここはれ開業
2児の母
産婦人科クリニックで勤務しながら、地域で新生児訪問をしています。
妊婦さんや産後ママたちに寄り添いながら、育児サポートをおこなっています。
看護師 免許番号 909267
助産師 免許番号 109026