更年期の腰痛、原因は更年期特有の身体の変化だけじゃない!出産経験も影響しているかも

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更年期世代になると、身体に色々な悩みがでてくる方が多いと思います。その中の1つである腰痛。

実は更年期だからではなく、出産時の身体の変化が原因の場合もあります。

 

出産なんて何十年も前のことが関係しているの?

と思いますよね。

 

今回は、そんな腰痛の原因と自宅で簡単にできるトレーニングをご紹介します。

更年期の腰痛が起こる3つの原因

①ホルモンバランスの変化

更年期になると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少します。

 

エストロゲンには、筋肉・血管・骨・関節などを健康に保つ役割があります。

エストロゲンが減少することで、骨や筋肉の働きが悪くなり、腰部に負担がかかりやすくなることで腰痛の原因となります。

②筋肉量と骨密度の低下

①でも記述したように、更年期では女性ホルモンであるエストロゲン分泌が減少します。  

 

エストロゲンは筋肉量を維持したり、骨を作る助けをする働きがあります。

 

筋肉量と骨密度には深い関係があります。

筋肉量や骨密度が低下することで、腰部周辺の骨や筋肉に負担がかかりやすくなり、腰痛の原因となります。

③妊娠・出産によるインナーマッスルの筋力低下

インナーマッスルには、図のように4つの筋肉があります。

妊娠中はお腹の筋肉が、約15㎝伸ばされます。また出産時には、骨盤底筋群が2〜3倍伸ばされます。

 

伸ばされた筋肉は、力が入らず働きにくい状態になっています。つまり、出産後はインナーマッスルが働きにくく、筋力が弱い状態ということです。

 

産後正しいトレーニングを行っていないと、更年期世代になってもインナーマッスルが弱い状態の方が多く、産後は身体にトラブルが出ていなくても、更年期世代になってからトラブルが出てくることもあります。

 

インナーマッスルの筋力低下は、体幹が不安定になることで、代償として腰部にストレスがかかり、腰痛の原因の1つになります。 

 

更年期の腰痛の改善には骨盤底筋トレーニングが効果的

①骨盤底筋群が腰痛に与える影響

骨盤底筋はたくさんの筋肉の総称のため、正しくは骨盤底筋群と言われています。

骨盤底筋群はインナーマッスルに含まれる4つの筋肉の1つです。

 

骨盤底筋群は主に4つの働きがあります。

 

1.安定:体幹を安定させ姿勢を保持

2.支持:内臓を正しい位置に保つ

3.排泄:尿や便のコントロール

4.性機能:出産やオーガズム

 

腰痛の改善に重要になってくるのが、1.体幹を安定させ姿勢を保持する働きです。この働きが弱くなると、腰に負担がかかり腰痛が起きやすくなります。

 

図にある、4つのインナーマッスルはすべて協力して働きます。そのため、1つでも弱い筋肉があると腰痛につながりやすくなります。

 

骨盤底筋群は、出産を経験している女性・更年期の女性は身体の変化によって、力が弱くなったり力をいれにくい状態になりやすいです。

腰痛で悩んでいる女性は、もしかしたら骨盤底筋群が原因かもしれません。

②骨盤底筋トレーニングのメリット

⚫︎トレーニング効果が上がり、腰痛が改善する

先ほど述べたように、骨盤底筋群はインナーマッスルの1つであり、インナーマッスルの筋肉は全て協力して働きます。

 

骨盤底筋トレーニングを行うことで他のインナーマッスルの筋肉も働きやすくなります。効果的にインナーマッスルを鍛えることができるため、より腰痛改善につながります。

 

⚫︎ぽっこりお腹が改善し、美姿勢になる

年齢が上がるにつれて下腹のぽっこりお腹が気になる方も多いのではないでしょうか。

 

骨盤底筋群は、姿勢の保持・内臓を正しい位置に保持する働きもあります。インナーマッスルである骨盤底筋群を鍛えることで、気になるぽっこりお腹も改善し、美姿勢を手に入れることができます。

 

⚫︎尿漏れ、お湯漏れが改善する

更年期世代のマイナートラブルでも多い尿漏れやお湯漏れ。骨盤底筋群が原因の場合もあります。

 

骨盤底筋群は排泄のコントロールする働きもあります。骨盤底筋トレーニングを行うことで、尿漏れやお湯漏れ改善にもつながります。

自宅でできる!腰痛に効く骨盤底筋トレーニングの方法

①基本の呼吸

骨盤底筋トレーニングは、腹式呼吸で行います。正しい腹式呼吸を確認してみましょう。

 

鼻から息を吸って、お腹を膨らませます。

口から息を吐いて、お腹を凹ませます。

 

呼吸の方法とお腹の動きが逆にならないように注意してください。

②初心者向けトレーニング2選

簡単に行える、基本のトレーニング方法を2つご紹介します。

 

1.仰向けでのトレーニング

【1】仰向けで寝た状態で、基本の呼吸をしましょう

ゆっくり呼吸をして、リラックスした状態でトレーニングを始めていきます。

 

【2】呼吸に合わせて骨盤底筋に力を入れていきます

お腹を凹ましながら息を吐きます。同時に骨盤底筋群を締めるように力を入れてみましょう。

 

骨盤底筋群に力を入れる感覚としては

・おしっこを我慢するように

・お尻の穴をとじるように

・膣の入口を締めて、上に引き上げるように

 

上記の中で、力を入れやすいイメージをもって行ってみてください。

上手く力が入らない場合は、写真のようにタオルを使ってお尻の位置を高くしてあげると力が入りやすくなります。

 

【3】呼吸に合わせて骨盤底筋群をゆるめます

骨盤底筋群に力を入れた後は、 

お腹を膨らませながら息を吸います。同時に骨盤底筋群をゆるませます。

 

【2】【3】をゆっくり繰り返し行っていきます。

 

2.手足の動きをいれたトレーニング

1.の基本の運動に合わせて、手や足の動きを取り入れていきます。

 

・両手をバンザイのように動かす

・足踏みの動きをする

 

骨盤底筋群を締めて力を入れる時に、上記の動きを一緒にやってみましょう。

手足の動きが加わることで、骨盤底筋群への意識が減るので少し難易度が上がります。

③トレーニングの効果を高めるポイント

トレーニング効果を高める細かいポイントをご紹介します。可能な方は意識しながらトレーニングを行ってみてください。

 

1.息を吐く時は窓を曇らせるように優しく

勢いよく息を吐いてしまうと、他の筋肉に力が入ってしまい、骨盤底筋群に力が入りにくくなってしまいます。窓を曇らせるように「はぁ〜」と優しく息を吐きましょう。

 

2.息を吐く時間を長く

息を吸う時間に対して、2倍程長く息を吐きましょう。インナーマッスルが働きやすくなるため、効果が上がります。

 

頑張りすぎて、息が止まらないように注意してください。

 

3.骨盤底筋群が動いているか確認してみる

自身で確認しながら行うことで、トレーニングが正しくできるため効果が上がります。

 

手のひらで自分のデリケートゾーンを触りながら骨盤底筋群を締めたり、ゆるめたりしてみましょう。

 

正しく力が入っていると

骨盤底筋群を締めた時は、中に引き込まれ手のひらから離れるように動きます。

骨盤底筋群をゆるめた時は、手のひらが少し押されるように動きます。

こんな腰痛は要注意!病院受診の目安

腰痛の中には、病院を受診し治療が必要なケースがあります。いくつかのケースをご紹介します。

①痛みが長期間続き、夜間や安静時も痛みがある

痛みが1ヶ月以上続き、夜間や安静にしていても痛みがある場合、骨折や内臓疾患の可能性があります。

また、特定の動きで痛みがある場合も整形疾患の可能性があるので受診がおすすめです。

②叩打痛がある

腰をグーの手で叩くと響くような痛みがある場合、骨折の可能性が高いです。内臓疾患の可能性もあるため受診がおすすめです。

③お尻や脚の痺れがある

腰痛に伴い、お尻や脚に痺れが出ている場合、整形疾患の可能性が高いです。特定の動きで症状が出る場合もあります。無理をすると症状が悪化する場合もあるため受診がおすすめです。

④排泄トラブルが出ている

脚の痺れに加えて、排泄のトラブル(尿失禁・残尿感・便失禁・便秘など)がある場合、整形疾患や内臓疾患の可能性があります。言いづらいトラブルではありますが、早めの受診をおすすめします。

⑤体重減少や発熱がある

長期間続く腰痛に加え、体重減少や発熱がある場合、内臓疾患が考えられます。無理せず早めの受診がおすすめです。

いま、腰痛で悩んでいる方へ

腰痛があると、家事・仕事・外出、何をするにも苦痛になってしまいますよね。

 

腰痛の原因は、今回ご紹介したもの以外にも考えられます。原因が分からない腰痛が多いのも事実ですが、病気が隠れている場合もあります。症状に合わせて病院受診も検討してください。

 

また、トレーニングの方法や効果も個人差があり、ご自身にあった方法で行うことが1番大切です。

 

ご自身の身体を知ること、正しいトレーニング方法を知ること。そのためには、専門家にしっかりみていただくことをおすすめします。

 

私が病院で勤務してる際も、

長年腰痛で悩んでいる方が、身体の使い方のアドバイスだけで、痛みが軽くなったケースもありました。

 

1人で悩まず、ぜひ専門家に相談してみてくださいね。

 

更年期だからと諦めず、痛みや不調のない笑顔あふれる生活を手に入れましょう。

この記事のライター

宮嶋早耶

宮嶋 早耶

【保有資格】
・理学療法士
・膣トレ膣ケアインストラクター
・骨盤底筋エクササイズ「Pfilates™」認定インストラクター

普段は理学療法士として、病院で勤務しています。
妊娠をきっかけに、身体の不調を訴える方の声をきき、ウィメンズヘルスの勉強を始めました。
現在は、私自身も子育てをしながら、産後のお母さんの身体ケアについて情報発信しています。
お母さんの笑顔は家族の笑顔
女性の皆さんが笑顔で素敵な毎日を過ごせるようお手伝いできればと思います。