恥骨の痛みと更年期の関係は?考えられる原因と無理のない向き合い方

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「歩くときに、恥骨のあたりがチクッと痛む」

 「立ち上がる瞬間に、なんとなく違和感がある」

そんな小さな変化に、心当たりはありませんか。

 

恥骨まわりの痛みは場所が場所だけに人に相談しづらく、「年齢のせいかもしれない」「気にしすぎかな」と、様子を見てしまいがちですよね。

はっきりとした病名がつかなくても、ホルモンバランスの変化によって不調を感じやすくなるのが更年期の特徴です。

恥骨の痛みや違和感もそのひとつで、決してめずらしいことではありません。

痛みの原因が、はっきりわからないまま不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

 

この記事では、更年期世代の恥骨の痛みについて、以下の内容をわかりやすくお伝えします。

  • 身体で起きている変化
  • 考えられる要因
  • 病院を受診する目安
  • 無理のない向き合い方

まずは一度立ち止まって、ご自身の体に起きていることを見つめ直してみましょう。

 

恥骨の痛みと更年期と関係がある?身体で起きている変化 

更年期に感じる恥骨の痛みや違和感は、女性特有の身体の変化と深く関係しています。

恥骨の痛みは、激しいスポーツをしている人や、作業中のケガで起こりやすいと言われています。

出産後、骨盤のゆがみが原因で、症状を自覚した経験があるかもしれません。

しかし、私たち更年期世代では、違う理由で痛みが出ることがあるのです。

その仕組みについてわかりやすくお伝えします。

恥骨と骨盤の役割

まずは、恥骨の大切な役割を知っておきましょう。

恥骨は、左右の骨盤を前側でつないでいる骨で、私たちの身体を毎日地道に支えてくれています。

 

 何気ない日常動作のたびに体重や外部からの力が骨盤にかかり続けています。その影響を常に受けているのが恥骨です。

歩くときや階段を上るときは、上半身の重さや地面からの衝撃がこの部分にかかります。足を動かすために必要な筋肉もこの周辺にたくさん集まっています。

また、骨盤の内部には、子宮や膀胱などの臓器があり、硬い骨と筋肉や靭帯によってしっかりと支えられ、守られています。

 

年齢を重ねるにつれて骨・筋肉・関節のバランスが崩れ始めると、デリケートな恥骨周辺にも痛みや重苦しさが生じるケースもあるのです。

 

参考:恥骨結合炎 | 産業医科大学若松病院整形外科

 

更年期に起こりやすい身体の変化

更年期に恥骨の痛みや違和感に気づく背景には、女性ホルモンであるエストロゲンの変化が関わっている可能性があります。

 更年期は、卵巣の働きが低下し、エストロゲンの分泌が大きく変動する時期です。

 

エストロゲンは子宮や乳房だけでなく、皮膚や血管、骨など全身の機能を調節しています。

ホルモンバランスの変化は、目に見えないうちに身体に大きな影響を及ぼします。

  • 筋肉や関節の柔軟性が落ちる
  • 骨密度が徐々に低下する

このような変化の重なりが、気づかないうちに骨盤周りへの負担となり、さらには恥骨周辺の不快感としてあらわれるケースも考えられます。

 

更年期特有のホルモンの変化で、これまで感じなかった痛みや違和感に気づく場合もあるのです。

 

参考:更年期障害 – 公益社団法人 日本産科婦人科学会

 

H2-2:更年期にあらわれやすい恥骨の痛みのおもな要因 

更年期に感じる恥骨の痛みや違和感には、日常の生活習慣や避けては通れない女性特有の身体の変化が関係していることがあります。

 

仕事や家事で追われる中、知らず知らずのうちに痛みの原因が積み重なっているかもしれません。見落としがちな更年期世代ならではの要因として、次の4つが挙げられます。

体の使い方や姿勢が影響している場合

まず一つめとして、恥骨の痛みは、日ごろの姿勢や身体の使い方によって生じる可能性があります。

 

骨盤の一部である恥骨には、身体の片側へ重心がかかる体勢や前かがみの姿勢が、大きな負担となるのです。

 

具体的な場面として

  • 長時間のデスクワーク
  • スマホの操作
  • 足を組む癖

などがその例として挙げられるでしょう。

 

以上の状態を無意識のうちに続けていると、筋肉や関節のバランスが崩れ、痛みや違和感を引き起こす場合があります。

 

ホルモンバランスの変化が関係している可能性

二つめの要因として考えられるのは、ホルモンバランスの変化です。

 

若い頃より疲れが取れにくく、姿勢が崩れやすいと感じることはありませんか。

女性の身体や心を守るホルモン(エストロゲン)の揺らぎや減少と関連しているかもしれません。

 

以前には気にならなかった日常生活動作で痛みや、いくつかの部位での痛みに心当たりがある方もいらっしゃるでしょう。

歳のせいと決めつけずに、更年期特有の身体の変化を見つめる機会にするのもおすすめです。

疲れやストレスが考えられるケース

3つめとして挙げられる要因は、疲れやストレスが恥骨周りの違和感につながる可能性です。

忙しさや睡眠不足、気持ちが張り詰めている状態が長期間になっていませんか。

仕事上のストレスや家庭での役割のために気持ちを張り詰めた状態が続くと、筋肉がこわばり、血流が滞りやすくなります。

 

身体におよぶ強い緊張が、不快感を引き起こす原因になっているかもしれません。

リラックスする空間や心身ともに休める時間を意識的につくってみましょう。

 

ひとつではなく、重なっていることも多い

恥骨の痛みや違和感を感じる場合、これらの要因が重なることもめずらしくはありません。

更年期世代では避けられないホルモンの変動、さらには慢性的な疲れが同時に起こり、恥骨の痛みとして気づくケースも考えられます。

 

痛みや違和感の要因は、どれかひとつに決めつけないことも大切です。

ご自身の身体からのサインや生活習慣を見直し、重なりをほどきながら整理すると次の対処法を選びやすいでしょう。

 

恥骨の痛みが続く場合は病気の可能性もある

更年期における恥骨の痛みは、病気の背景も排除できません。

長引く症状が以下のケースにあてはまるときは、自己判断せずに、医療機関への相談も検討してみましょう。

恥骨結合炎

恥骨結合炎は、恥骨のつなぎ目(恥骨結合)まわりに炎症が起き、痛みにつながる状態です。

 

更年期には女性ホルモンの低下により、骨盤周囲の関節や靱帯に負担がかかりやすくなり、恥骨部の痛みが生じることがあります。

歩行や立ち上がり、体勢を変えた瞬間に痛みが出やすく、負担が続いたあとに違和感が強まるケースもみられます。

痛みが続くときや、動くと強くなる場合には特に注意が必要です。

 

参考:恥骨が痛い(女性):医師が考える原因と受診の目安|症状辞典 | メディカルノート

恥骨骨折

恥骨部や股関節周辺に強い痛みや歩行が困難な状態は、恥骨骨折かもしれません。

更年期以降は女性ホルモンの減少のため骨密度が低下し、若いときに比べて骨折しやすい状態です。

そのため、転倒など強い衝撃がなくても、軽くぶつけただけで骨折が起こることがあります。

 参考:日本脆弱性骨折ネットワーク

GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)

GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)とは、閉経前後に女性ホルモンが低下することで、腟や外陰部、尿道まわりに不調があらわれる状態を指します。

 

 乾燥感やヒリヒリ感、排尿時の違和感などが代表的な症状とされ、恥骨まわりの不快感として感じられる場合もあります。

これらの症状は、加齢による変化と重なりやすく、「痛みの場所がはっきりしない」「なんとなく違和感が続く」と感じる方も少なくありません。

 

参考:GSMとは?女性に多い症状・原因、最新の治療法を解説 | レディースクリニックなみなみ 

鼠経(そけい)ヘルニア

鼠経ヘルニアは、足の付け根にあたる鼠経部から、腸などが皮膚の下に出てくる状態を指します。

 立ったときや力んだときにふくらみが目立つ咳や動作で違和感が強くなるといった特徴がみられることがあります。

痛みの感じ方には個人差があり、恥骨の近くが引っ張られるように感じるケースもあります。 見た目の変化や左右差に気づいた場合には、恥骨の痛みとは別の原因も考えてみましょう。

 

参考:鼠径ヘルニアとは?症状、原因、治療法について | 市立池田病院

注意したい更年期の恥骨の痛み|病院受診の目安 

前の章で触れたように、恥骨の痛みに関連する病気は、自己判断だけで見分けるのが難しいことがあります。

仕事や家の用事で後回しにしがちな痛みほど、不安が膨らみやすいものです。次の点に当てはまらないか、普段の動きの中でそっと確かめてみましょう。

 

痛みや違和感が長く続いている

恥骨まわりの痛みが数日から数週間続く場合、身体の回復だけでは追いついていない可能性があります。

一時的な疲れや姿勢の影響なら自然に軽くなりますが、症状が長引くほど別の要因が考えられます。

忙しい時期程「いつまで続くか」を一度メモしておくと整理しやすいでしょう。

 

日常生活に支障が出ている

日々の動作がつらいと感じた時点で、無理を重ねない判断が大切です。

たとえば、

  • 歩き始めや立ち上がる瞬間に強く痛む
  • 長時間座ったあとに動き出しづらい状態が続く
  • 朝起きた時に太もものつけ根あたりが重苦しい

などの状態は、骨盤まわりへの負担が大きい可能性があります。

通勤や仕事中の動作で支障が出るときは、我慢だけで乗り切らない視点が必要です。

恥骨以外にも気になる症状がある

恥骨の痛みに加えて、次のような症状はありませんか。

  • 下腹部の違和感
  • 排尿時の不快感
  • 足の付け根の張り

複数の症状が同時に出る場合、原因が一か所に限らないかもしれません。

 

仕事を休みにくい状況でも早めに相談しておくと、気持ちの負担が軽くなる場合があります。

 

これまでと違う違和感を感じる

今までにない痛み方や、質の違う違和感に気づいたときは、身体からのサインとして受け取る視点が大切です。

年齢の変化だけで片づけず、痛み出す場面や強さを一度立ち止まって確認すると、受診の相談もしやすくなります。

 

病院受診はまず整形外科、必要に応じて婦人科も

当てはまる項目がある方は、最初の相談先として整形外科をおすすめします。

医師の診察や画像検査などで骨や関節の状態を確認し、必要に応じて婦人科など別の診療科につなげてもらう流れも考えられます。

迷うときほど、まずは相談先を一つに絞ると動きやすいでしょう。

 

恥骨の痛みを和らげる工夫|更年期世代が今日からできること 

恥骨の痛みと向き合うときに大切なのは、今の状態に合った対応を選ぶ視点です。

家事や仕事が休めない状況でも、強い痛みが出ている時期と、違和感が長い間続く状態では、身体への向き合い方のポイントは変わってきます。

無理を重ねないことを軸に、日常で取り入れやすい工夫を整理します。

 

痛みが強いときの対処法|まずは「休む・冷やす」ことを優先に

痛みが急に強くなったときや、動くたびにつらさを感じる状態では、身体を休める判断が基本です。

 

無理に動かし続けると恥骨まわりの負担が増え、症状の回復を遅らせるかもしれません。

 横になる時間を確保して、あえて動かさない時間を意識的につくってみましょう。

 

冷やすケアも選択肢のひとつです。保冷剤や冷たいタオルを短時間あて、冷やしすぎに注意しながらおこないます。

座る際には、クッションを使い、骨盤に体重が集中しにくい工夫を取り入れると仕事中や移動中の負担が和らぐ場合があります。

 

長く続いている痛みと付き合う工夫|温める・動かす

一方、痛みが長く続く場合、冷えや血流の影響も考えてみましょう。身体を温めると筋肉の緊張がゆるみ、違和感が軽くなるケースもみられます。

腹巻やカイロ、湯たんぽなどで骨盤まわりや下腹部を温める工夫は、日常に取り入れやすい方法です。

 

 長時間におよぶ同じ姿勢は、できるだけ避ける意識も大切です。

痛みを悪化させない範囲で身体を動かし姿勢を変える習慣は、負担の偏りを減らすことにつながります。

 

食事・体重・ストレス面からのセルフケア

食事面では、筋肉や骨の健康を支える栄養を意識したバランスが重要です。

大豆食品に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンに似た働きを持つ成分として知られています。

毎日の食事にぜひ取り入れたい、おもなな食品は以下のとおりです。

  • 納豆
  • 豆腐
  • みそ
  • 油揚げ
  • 豆乳

 

 体重が増えすぎると骨盤への負担が大きくなるため、ムリのない体重管理を続けていきましょう。一方で、急な減量は骨粗しょう症にもつながるので、適切な体重の維持が理想的です。

 

 ストレスが続くと痛みを強く感じやすいといわれてます。短い時間でも気持ちをゆるめる工夫が、身体を整えるケアにつながるでしょう。

 

更年期世代における恥骨の痛みに関するQ&A 

恥骨の痛みに関連するよくある質問は、以下のとおりです。

 

更年期に入ってからの恥骨の痛みは普通のことですか?

更年期の時期に、恥骨まわりの痛みや違和感を感じる方は一定数います。

女性ホルモンの変化に加え、姿勢の崩れや疲れが重なり、不調としてあらわれやすくなるためです。

ただし、「更年期だから仕方ない」と決めつける必要はありません。

痛みの強さや続く期間、生活への影響を一度整理し、無理を重ねていないかを確認してみましょう。

 

ストレッチ後に痛みが増した場合は運動を控えるべきですか?

ストレッチ後に痛みが強くなった場合、今の身体に合っていなかった動きの可能性があります。

無理に続けずいったん休み、痛みが落ち着くか確認すると安心です。

軽い違和感であれば動かし方や回数を見直す選択もあります。

もし、痛みが続く場合は運動を中断し、別のケアに切り替える視点が必要でしょう。

 

恥骨以外に下腹部や太ももに痛みがある場合は病気の可能性はありますか?

恥骨だけでなく、下腹部や太もも、足の付け根に痛みを感じる場合、原因がひとつに限らないこともあります。

筋肉や関節の負担に加え、尿路や婦人科領域のケースも考えられるからです。

複数の症状が同時に続くときは、自己判断で抱え込まず、医療機関での相談がおすすめです。

 

まとめ:恥骨の痛みと更年期の不安を整理するために 

更年期の時期に、恥骨まわりの痛みや違和感を感じる原因は、ひとつではありません。

 更年期世代ならではの身体の変化を正しく理解したうえでケアを選ぶことが、安心への確かな一歩となります。

 

女性のための整体サロン「POWWOW」では、施術だけでなく仕事の影響や日々の暮らし方からくる痛みへの不安も、ていねいなカウンセリングで受けとめます。

ご自身の身体や心の変化を無理なく受け入れる方法のひとつとして、試してみてはいかがでしょうか。

 

この記事のライター

田代文恵

田代 文恵

1990年 正看護師資格取得
ライフスタイルに合わせつつ、総合病院やクリニック、訪問看護・介護施設でさまざまな年代の患者さんや利用者さんのケアをおこなってきました。
2023年 フリー看護師ライターとして活動開始。健康寿命や認知症予防に関する発信から、人生100年時代の新しい生き方を提案していきます。
2025年 電子書籍初出版
看護師免許番号 700804
介護支援専門員登録番号 0406186
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