
更年期で中性脂肪が高くなるのはなぜ?理由や放置するリスクを解説
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「食事も運動も変えていないのに、なぜ中性脂肪だけ上がったんだろう…」
健康診断の結果を見て、戸惑っていませんか?
去年までは何も言われなかったのに。むしろ気をつけているつもりなのに。
頭に浮かぶのは、家族の病歴。心筋梗塞、脳卒中。このまま放っておいたら、私も同じ道をたどるのだろうか。改善のために何から始めればいいのか分からない。
実は、閉経後女性の脂質異常症有病率は41.9%で、閉経前の約2倍というデータがあります(BMC Endocrine Disorders 2024)。原因は、更年期でホルモンバランスが変わり、体が脂肪をため込みやすくなるから。あなたの努力不足ではなく、体質が変わっただけなのです。
私自身、若い時よりも明らかに太りやすくなったと実感しています。食事量は変わっていないのに、体重が増えやすくなりました。これは基礎代謝が下がり、1日に消費するカロリーが減っているからです。
この記事では、なぜ更年期に中性脂肪が上がるのか、そのメカニズムを分かりやすく解説した上で、調理不要で週3回でいい食事法、歯磨きやレジ待ちの”ながら運動”で1日30分、さらに薬やホルモン治療を使うべきタイミングと費用まで、看護師の視点からお伝えします。
更年期で中性脂肪が高くなる理由
更年期に中性脂肪が急に上がるのは、あなたの生活習慣が悪化したからではありません。エストロゲンというホルモンの減少が根本原因です。エストロゲンは肝臓での脂質代謝をコントロールする「脂質の番人」のような役割を担っており、これが減ることで体が脂肪をため込みやすい体質へと変化します。ここでは、そのメカニズムを3つの視点から解説します。
エストロゲン減少が脂質代謝をコントロールできなくする
エストロゲンは、肝臓で中性脂肪(トリグリセリド)が過剰に作られるのを抑える働きをしています。具体的には、肝臓内で脂肪酸から中性脂肪を合成する酵素の活性を抑え、さらに中性脂肪を血液中に放出するVLDL(超低比重リポタンパク)の産生も抑制します※1。
ところが閉経に向けてエストロゲンが急激に減少すると、この「ブレーキ」が外れた状態になります。肝臓は中性脂肪を作り続け、血液中に放出し続けるため、健康診断で測定される中性脂肪値が上昇するのです。

出典:※1 第一三共「エストロゲンと脂質代謝」
基礎代謝が10〜15%低下し同じ食事量でも太る
エストロゲンは筋肉量の維持にも関わっています。更年期にエストロゲンが減ると、筋肉量が減少し、それに伴い基礎代謝(安静時のエネルギー消費量)が1日あたり約50〜70 kcal低下します※2。

「たった50〜70 kcal」と思うかもしれませんが、これは食パン半枚分に相当します。毎日この分のカロリーが余ると、食事量を減らさず運動量も変えなければ、2〜3か月で約0.5 kg(1ポンド)の脂肪が蓄積されます※2。
表:基礎代謝低下による余剰カロリーの例
| 項目 | 更年期前 | 更年期後 | 差 |
| 基礎代謝(kcal/日) | 1,200 | 1,130〜1,150 | ‑50〜‑70 |
| 食事摂取(kcal/日) | 1,800 | 1,800 | 0 |
| 余剰カロリー(kcal/日) | +600 | +650〜+670 | +50〜+70 |
| 2〜3ヶ月の余剰(kcal) | 約54,000 | 約58,500〜60,300 | +4,500〜+6,300 |
| 体脂肪換算(kg) | 約7.5 | 約8.1〜8.3 | +0.6〜0.8 |
「食事も運動も変えていないのに太った」「お腹周りに脂肪がついた」と感じるのは、この基礎代謝の低下が原因です。特に閉経後は内臓脂肪が36%増加しやすくなるという研究結果もあります※3。
出典:※2 Evernow「What Menopause Does to Your Metabolism & Weight」Wendy Kohrt博士(コロラド大学運動生理学者)の研究
更年期の中性脂肪を放置するリスク
更年期で中性脂肪が高くなったまま放置すると、動脈硬化が進行し、最終的に心筋梗塞や脳卒中を引き起こす危険性が高まります。
更年期の中性脂肪150 mg/dL以上で動脈硬化が進行する
中性脂肪が高い状態が続くと、血管壁に脂質が沈着し、動脈硬化プラークが形成されます。特に更年期以降の女性は、エストロゲン減少により血管の柔軟性が低下するため、動脈硬化が進行しやすくなります。
閉経後女性の脂質異常症有病率は41.9%と、閉経前の約2倍に上昇しています※1。つまり、更年期を迎えた女性の約4割が、中性脂肪や他の脂質に何らかの異常を抱えている状態です。
出典:※1 BMC Endocrine Disorders 2024年12月22日号
中性脂肪を放置すると心筋梗塞・脳卒中を引き起こす
動脈硬化が進行すると、プラークが破裂して血栓ができ、心筋梗塞や脳卒中を引き起こします。

心筋梗塞の主な症状は胸痛・冷や汗・吐き気、脳卒中は突然の片麻痺・ろれつが回らない・激しい頭痛です。
表:中性脂肪値と必要な対応
| 中性脂肪値(mg/dL) | 状態 | 対応 |
| <150(空腹時) | 正常 | 現在の生活習慣を維持 |
| 150~199(空腹時) | やや高い | 食事・運動の改善を開始 |
家族に心臓病や脳卒中の既往がある方は特に注意が必要ですが、生活習慣の改善でリスクを大幅に下げることができます。
更年期の中性脂肪を下げる生活習慣~食事と運動
更年期の中性脂肪上昇は、ホルモンバランスの変化が原因ですが、食事と運動の工夫で改善できます。ここでは、忙しい毎日でも無理なく続けられる具体的な方法を紹介します。
青魚のEPA・DHAで中性脂肪を20〜30%低減
青魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)は、肝臓での中性脂肪合成を抑制し、血中の中性脂肪値を低下させる効果があります。
1日の目標摂取量は1,000 mg以上。サバ缶1缶(約190g)には約3,000〜4,000 mgのEPA・DHAが含まれているため、週3回(月・水・金)サバ缶を食べるだけで十分な量を摂取できます。調理不要で、そのまま食べられるので、忙しい方にもおすすめです。
表:おすすめの青魚とEPA・DHA含有量(1食分)

※サバ缶(水煮)1缶(190g)、サンマ1尾(100g)、イワシ2尾(100g)サケ1切れ(80g)のEPA・DHA含有量の比較です
納豆・豆腐・もずく酢で脂質吸収を抑制
納豆・豆腐に含まれる大豆イソフラボンは、エストロゲンに似た働きをし、脂質代謝の改善をサポートします。1日1パック(約50g)を目安に摂取しましょう。
特に豆腐は、たんぱく質が豊富で筋肉量の維持にも役立ちます。基礎代謝が下がりやすい更年期だからこそ、筋肉を落とさないためにたんぱく質をしっかり摂ることが大切です。私も意識して豆腐を食べるようにしています。
もずく酢に含まれる水溶性食物繊維は、食事中の脂質や糖質の吸収を緩やかにし、中性脂肪の上昇を抑えます。食事の最初に食べることで、より効果的です。
具体的な食べ方の例
- 朝食:納豆1パック + ご飯
- 昼食または夕食の最初:もずく酢1パック(約70g)
これらは、食事の最初に食べることで、より効果的です。
中性脂肪を上げる食品を避ける
避けるべき食品
- 糖質の多い食品:白米、パン、麺類、菓子類、清涼飲料水
- アルコール:特にビールや日本酒(糖質が多い)
- 飽和脂肪酸の多い食品:バター、生クリーム、脂身の多い肉

ご飯は茶碗1杯(150g)を目安にし、夕食では半分に減らすなどの工夫が有効です。アルコールは週2回以下、1回あたりビール中瓶1本(500ml)までに抑えましょう。
「ながら運動」で1日30分の活動量を確保
ジムに通う時間がなくても、日常生活の中で体を動かす「ながら運動」で1日30分の活動量を確保できます。
私も立ち仕事の時はつま先立ち、ドライヤーや歯磨き中はスクワット、テレビを見ながらリビングのトランポリンを跳んでいます。特別な時間を作らなくていいので続けやすいです。
表:「ながら運動」30分メニュー例
| タイミング | 運動と時間 |
| 朝:歯磨き中 | かかと上げ運動 3分 |
| 通勤・買い物時 | つま先立ちで待つ 5分 |
| 洗濯物を干しながら | スクワット(浅め)10分 |
| テレビを見ながら | 足踏み・足上げ運動 10分 |
| 夜:歯磨き中 | かかと上げ運動 3分 |
| 合計 | 31分 |
これらの運動を組み合わせることで、無理なく1日30分の活動量を達成できます。継続することで、基礎代謝が向上し、中性脂肪の低下につながります。

更年期と脂質異常症の関係
更年期になると中性脂肪だけでなく、コレステロール値も変化します。ここでは、脂質異常症とは何か、更年期との関係、そして予防策を解説します。
脂質異常症とは
脂質異常症とは、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)のバランスが崩れた状態を指します。具体的には、以下のいずれかに該当する場合を脂質異常症と診断します。
表:脂質異常症の診断基準
| 項目 | 診断基準 |
| LDLコレステロール(悪玉)高値 | 140 mg/dL以上 |
| HDLコレステロール(善玉)低値 | 40 mg/dL未満 |
| 中性脂肪高値(空腹時) | 150 mg/dL以上 |
脂質異常症は自覚症状がほとんどないため、健康診断で初めて指摘される人が多く、放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。
更年期と脂質の変化:エストロゲン減少が脂質異常症を引き起こす
更年期を迎えると、エストロゲンの減少により脂質バランスが大きく変化します。エストロゲンには以下の3つの保護作用があります。
- LDLコレステロール(悪玉)を減少させる:肝臓のLDL受容体を増やし、血中のLDLを回収
- HDLコレステロール(善玉)を増加させる:血管壁からコレステロールを運び出す働きを促進
- 中性脂肪を低下させる:肝臓での中性脂肪合成を抑制

閉経によってエストロゲンが急激に減少すると、これらの保護作用が失われ、LDLコレステロールは上昇、HDLコレステロールは低下、中性脂肪も増加します。その結果、更年期以降の女性は脂質異常症を発症しやすくなります。
更年期後の女性に多い脂質異常症~無症状ゆえに油断は禁物
脂質異常症は自覚症状がほとんどないため、「数値が高いだけで体調は問題ない」と油断しがちです。しかし、60歳以降では女性の脂質異常症の頻度が男性よりも高くなります。実際、閉経後女性の41.9%が脂質異常症に該当するという調査結果もあります。
以下に当てはまる方は、早めに血液検査を受けることをおすすめします。
- 更年期世代(45〜55歳):エストロゲン減少により脂質バランスが変化しやすい
- 閉経後:脂質異常症のリスクが約2倍に上昇
- 家族に心筋梗塞や脳卒中の既往がある:遺伝的リスクが高い
- 更年期症状が強い:ホットフラッシュ、動悸、イライラなど
年1回の健康診断で脂質項目(中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロール)を必ずチェックしましょう。
定期検査のポイント
- 年1回は脂質項目を含む健康診断を受ける
- 中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロールの3項目をチェック
- 異常値が出たら放置せず、医療機関で相談
これらを継続することで、更年期以降も健康的な脂質バランスを保つことができます。
更年期の中性脂肪、いつ病院に行くべき?受診の目安と治療法
中性脂肪が高い状態が続いた場合、「様子を見るべきか」「すぐ病院に行くべきか」迷いますよね。ここでは、受診のタイミング、何科を受診すればいいのか、どんな治療があるのか、費用はいくらかかるのかを具体的に解説します。
病院で受診を検討するべき4つの基準
以下の4つの基準のうち、いずれか1つでも当てはまる場合は、医療機関への受診を検討しましょう。
表:受診を検討すべき4つの基準
| 基準 | 内容 |
| 中性脂肪≥200 mg/dL | 空腹時の血液検査で200 mg/dL以上が続いている |
| 生活改善3か月で無効 | 食事・運動を3か月実践しても数値が下がらない |
| 更年期症状あり | ホットフラッシュ、動悸、めまい、イライラなどがある |
| 家族に血管疾患の既往 | 家族に心筋梗塞や脳卒中の既往がある |
これらに当てはまる場合は、放置せず早めに専門医に相談しましょう。特に中性脂肪が200 mg/dL以上の場合、動脈硬化が進行しやすく、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。
更年期の中性脂肪は内科または婦人科(更年期外来)を受診
中性脂肪の治療を受けられる診療科は、主に内科(循環器内科・糖尿病内科)と婦人科(更年期外来)の2つです。症状や他の病気の有無によって、どちらを選ぶか判断しましょう。
内科(循環器内科・糖尿病内科)がおすすめの人
- 中性脂肪やコレステロールなど脂質異常症を専門に診てもらいたい
- 高血圧や糖尿病など他の生活習慣病も合併している
- 更年期症状(ホットフラッシュ、動悸など)はあまり気にならない
- かかりつけの内科医がいる
婦人科(更年期外来)がおすすめの人
- 更年期症状(ホットフラッシュ、動悸、イライラなど)と中性脂肪上昇の両方がある
- ホルモン補充療法(HRT)も検討したい
- 女性特有の悩みを相談したい
初めて受診する場合は、かかりつけ医に相談して紹介状をもらうか、健康診断の結果を持参するとスムーズです。
中性脂肪治療の選択肢と費用目安
中性脂肪の治療には、主に2つの選択肢があります。それぞれの特徴と費用の目安を紹介します。
薬物療法(フィブラート系薬など)
フィブラート系薬は、肝臓での中性脂肪合成を抑制し、血中の中性脂肪を30〜50%低下させる効果があります。1日1〜2回の服用で、生活習慣の改善と併用することで効果が高まります。
| 項目 | 内容 |
| 効果 | 中性脂肪を30〜50%低下 |
| 服用方法 | 1日1〜2回 |
| 費用 | 3割負担で月1,000〜2,000円程度(診察料・検査料別) |
注意点:筋肉痛や肝機能障害などの副作用が出ることがあるため、定期的な血液検査で経過を確認します。
ホルモン補充療法(HRT)
更年期症状が強く、中性脂肪上昇もある場合に有効です。エストロゲンを皮膚から吸収させる貼り薬やジェルを使用する経皮HRTが推奨されます。経皮HRTは肝臓を通らないため、経口薬より中性脂肪への影響が少ないのが特徴です。
| 項目 | 内容 |
| 効果 | 更年期症状の緩和、脂質バランスの改善 |
| 使用方法 | 貼り薬またはジェル(1日1回または週2回) |
| 費用 | 3割負担で月3,000〜5,000円程度(診察料・検査料別) |
注意点:乳がんや血栓症のリスクがある人、過去に乳がんや子宮がんの既往がある人には使用できない場合があります。開始前に婦人科でマンモグラフィーや子宮がん検診を受けることが推奨されます。

まとめ:更年期の中性脂肪は「今」始めれば下げられる
更年期で中性脂肪が高くなるのは、エストロゲン減少が原因です。「食事も運動も変えていないのに数値が上がった」のは、あなたの努力不足ではなく、体の仕組みが変わったからです。

でも、更年期後も自然には下がらない中性脂肪も、今から始めれば1〜3か月で数値を下げられる可能性があります。
今日から始められる3つのこと
- サバ缶を週3回(月・水・金):調理不要で手軽にEPA・DHAを摂取
- 納豆・豆腐を1日1パック:エストロゲン様作用で脂質代謝をサポート
- 「ながら運動」30分:歯磨き中のかかと上げ、レジ待ちのつま先立ち、洗濯物干しのスクワット
特別な時間やお金をかけなくても、今日からできることばかりです。
こんな時は受診を検討しましょう
- 中性脂肪200 mg/dL以上
- 生活改善を3か月続けても効果なし
- 更年期症状(ホットフラッシュ、動悸、イライラ)が強い
- 家族に心筋梗塞や脳卒中の既往がある
内科(循環器内科・糖尿病内科)または婦人科(更年期外来)で、フィブラート系薬やホルモン補充療法などの治療が受けられます。
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この記事のライター
看護師
1999年 看護師免許取得し、国立療養所富士病院に看護師として入職
2005年 富士宮市立病院に入職 循環器内科、呼吸器内科など多くの科を経験 (他、消化器内科、脳外科、心臓カテーテル室、内視鏡室)
2008年 呼吸療法認定士取得
2022年 子育てとフルタイム勤務の両立に悩み、退職
2022年 退職後 内視鏡クリニックとデイサービスの非常勤で働きながら フリーランスの看護師として活躍開始 webライター、セミナー講師などで活躍中 看護師の自由な働き方についてSNSで情報発信している







