更年期の不安感はなぜ起こる?原因・症状・心を整えるセルフケアを解説

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40代後半から体調の変化を感じ始め、「理由はわからないけれど不安になる」「気持ちが落ち着かない」と感じることはありませんか?更年期はホルモンの変化により、体だけでなく心にも影響が現れやすい時期です。

特に「不安感」は目に見えにくく、自分でも原因がわからないまま抱え込んでしまう方も少なくありません。「自分だけなのでは」「いつまで続くのだろう」と感じることもあるでしょう。

この記事では、更年期に起こる不安感の原因や症状、そして日常生活の中でできる整え方について、管理栄養士の視点も交えながらわかりやすく解説します。 

 

更年期に不安感が出るのは珍しいことではありません

更年期は女性ホルモンの変化により、心身ともに揺らぎやすい時期です。体調の変化だけでなく、不安感や気分の落ち込みといった心の症状も現れやすくなります。こうした変化は特別なことではなく、多くの女性が経験するものです。まずは「自分だけではない」と知ることが安心につながります。

更年期とはどんな時期?

更年期とは、閉経をはさんだ前後約10年間(一般的には45〜55歳頃)を指し、女性の体に大きな変化が訪れる時期です※¹。この時期は女性ホルモンの分泌が大きく揺らぐため、体調や気分に影響が出やすくなります。これまでと同じ生活をしていても、心や体に変化を感じやすくなるのが特徴です。

※¹小冊子『女性がいきいき生きるコツ』「更年期障害」の正しい知識と適切な対処を

 

更年期に起こりやすい心の変化

更年期には、気分の浮き沈みやイライラ、不安感など、心の変化を感じやすくなります。これらは性格や気持ちの問題ではなく、ホルモンバランスや自律神経の影響によるものです。これまで気にならなかったことが気になったり、感情が不安定になることもありますが、多くの女性が経験する自然な変化のひとつです。

 

不安感に悩む女性は少なくない

更年期に不安感を抱く女性は決して少なくありません。

突然理由もなく不安になったり、胸がざわつくような感覚に戸惑うこともあります。

「自分だけがおかしいのでは」と感じてしまいがちですが、同じような悩みを抱えている人は多くいます。まずはそのことを知るだけでも、気持ちが少し軽くなることがあります。

 

更年期に不安感が起こる主な原因

更年期の不安感は一つの原因だけで起こるものではなく、ホルモン・神経・環境などが複雑に関係しています。

体の内側で起こっている変化を知ることで、不安の正体が見え、必要以上に怖がらずに向き合うことができるようになります。 

 

女性ホルモン(エストロゲン)の減少

更年期には、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が大きく減少します。エストロゲンは体だけでなく、心の安定にも関わるホルモンです。

そのため分泌量が急激に変化すると、気分の落ち込みや不安感を感じやすくなります。

こうした変化は自然なものであり、誰にでも起こりうる体の反応の一つです。

 

自律神経の乱れ

エストロゲンの変動は、自律神経のバランスにも影響を与えます。

自律神経は、呼吸や体温、心拍などをコントロールしているため、その働きが乱れると動悸や息苦しさ、不安感などが現れやすくなります。

特に更年期は環境や体調の変化も重なり、自律神経が揺らぎやすい時期といえます。

 

セロトニンの低下

心の安定に関わる神経伝達物質であるセロトニンも、更年期の影響を受けやすいとされています。

エストロゲンはセロトニンの働きと関係しているため、その減少により気分の落ち込みや不安感を感じやすくなることがあります。

セロトニンは生活習慣とも深く関わるため、日々の整え方が心の安定につながることもあります。

 

ライフステージの変化(家庭・仕事・親の介護など)

更年期は、子どもの自立や進学、夫婦関係の変化、親の介護、仕事の責任の増加など、ライフステージの変化が重なりやすい時期です。

こうした環境の変化は知らず知らずのうちにストレスとなり、心や体に影響を与えることがあります。

自分では気づかないうちに負担が積み重なり、不安感として現れることもあるため、「今は変化の多い時期」と理解することも大切です。

 

更年期の不安感でよくある症状

更年期の不安感は人によって感じ方が異なりますが、いくつか共通する特徴があります。

症状を知っておくことで、「これは更年期の影響かもしれない」と気づきやすくなり、不安を必要以上に大きくしないことにもつながります。

 不安感とともに表れやすい症状に絞って紹介します。

 

精神的症状(不安感・気分の落ち込み・イライラなど)

更年期には、不安感だけでなく、気分の落ち込みやイライラ、理由のわからない不安など、さまざまな精神的症状が現れることがあります。これらは性格や気の持ちようではなく、女性ホルモンの変化や自律神経の乱れによって起こるものです。

これまでと違う自分に戸惑うこともありますが、多くの女性が経験する自然な変化の一つといえます。

 

胸部症状(動悸・息苦しさ)

更年期には、突然ドキドキとした動悸を感じたり、息苦しさや胸の圧迫感を覚えることがあります。

検査をしても異常が見つからない場合でも、自律神経の乱れによってこうした症状が起こることがあります。

不安感と重なることで症状が強く感じられることもあり、「何かの病気では」と心配になりやすい点も特徴です。

 

血管運動症状(ほてり・のぼせ・発汗)

顔や上半身が急に熱くなる、汗が止まらないといったホットフラッシュは、更年期に多くみられる血管運動神経症状の一つです。

体温調節をつかさどる自律神経の乱れが関係しており、予測できずに起こることで不安感を強めることもあります。

 

こうした体の反応を理解することで、必要以上に不安を感じずに向き合いやすくなります。 

 

更年期に起こりやすいその他の症状

更年期には不安感以外にも、さまざまな体や心の変化が現れることがあります。

これらの症状は一見すると別々のものに感じられますが、ホルモンバランスや自律神経の乱れが関係している点で共通しています。

不安感とあわせて理解することで、「体からのサイン」に気づきやすくなり、早めのセルフケアにもつながります。 

 

全身的症状(疲労感・倦怠感)

更年期には、強い疲労感や倦怠感を感じやすくなることがあります。

十分に休んでいるつもりでも疲れが取れにくく、「何もしたくない」と感じることも少なくありません。

これはホルモンバランスの変化や自律神経の乱れが関係しており、体の回復力が低下しているサインの一つと考えられます。無理をせず、休息を意識することも大切です。

 

運動器症状(肩こり・関節痛)

肩こりや腰痛、関節の痛みなどの運動器症状も、更年期にみられる変化の一つです。

エストロゲンの減少は筋肉や関節の状態にも影響を与えるため、これまで感じなかった不調が現れることがあります。

体を動かすことがおっくうになることもありますが、軽いストレッチや無理のない運動を取り入れることで、症状の緩和につながることもあります。

 

消化器症状(胃もたれ・食欲低下)

胃もたれや食欲不振、便秘などの消化器症状を感じることもあります。

自律神経は消化機能とも深く関わっているため、そのバランスが乱れることで胃腸の働きが不安定になりやすくなります。

食事量や内容が変化することで体調にも影響が出やすくなるため、無理のない範囲で整えることが大切です。

 

皮膚粘膜症状(乾燥・かゆみ)

肌の乾燥やかゆみ、目や口の乾きといった皮膚粘膜の変化も、更年期に起こりやすい症状です。

エストロゲンは皮膚の潤いを保つ働きにも関わっているため、その減少によりバリア機能が低下しやすくなります。

外側からのケアだけでなく、栄養や水分補給など内側からのケアも意識することが大切です。

 

泌尿器・生殖器症状(頻尿・膣の乾燥)

頻尿や尿もれ、膣の乾燥などの泌尿器・生殖器の変化も、更年期にみられることがあります。

これらもエストロゲンの減少が関係しており、デリケートな悩みとして一人で抱え込みやすい症状です。

日常生活に支障を感じる場合は、無理をせず専門機関に相談することも大切な選択の一つです。 

 

更年期の不安感に気付くためのセルフチェック

不安感は自分では気づきにくいこともあります。

現在の状態を客観的に把握することで、必要なケアを選びやすくなります。

まずは最近の心と体の状態をチェックして振り返ってみましょう。 

本記事のセルフチェックは、医療機関でも使用されている「簡易更年期指数(SMI)」※²や国内の専門家監修のチェック項目※³を参考に作成しています。診断とは異なります。

 

セルフチェック

  • 理由もなく不安になる
  • 動悸や息苦しさがある
  • 夜に不安が強くなる
  • 眠れない・眠りが浅い
  • 気分の落ち込みがある
  • 疲れやすくやる気が出ない

 

セルフチェックの項目にいくつか当てはまり、その状態が2週間ほど続いている場合は、少し立ち止まってご自身の心と体の状態を見つめてみるタイミングかもしれません。

まずは日々の生活リズムや食事、休息のとり方を見直すことから始めてみましょう。

もし気になる症状が続く場合や、つらさを感じるときは、無理をせず専門家に相談することも一つの大切な選択です。ご自身のペースで、できることから整えていくことを大切にしてみてください 。

 

※²厚生労働省:更年期症状・障害に関する意識調査(結果概要)

 

※³更年期障害とは – 健康セルフチェック

 

更年期の不安感をやわらげるセルフケア

更年期の不安感は、日々の生活習慣を整えることでやわらぐことがあります。

特に食事や睡眠、生活リズムは自律神経や脳の働きと深く関係しています。

無理のない範囲で取り入れられるケアを続けることが、心の安定につながります。

 

漢方薬を取り入れた心と身体の整え方

更年期の不安感には、体質に合わせて整える漢方薬が用いられることもあります。

漢方では「気・血・水」のバランスを重視し、不安感や気分の落ち込みは「気の巡り」や「血の不足」と関係すると考えられています。

例えば、気持ちの不安定さには加味逍遙散(かみしょうようさん)などが使われることもあります※⁴。

自己判断での使用は避け、薬剤師や医師に相談しながら取り入れることが大切です。

 

※⁴ 更年期障害 – 悩み別漢方 – 漢方ビュー

 

ツボ押しによるリラックスケア

不安感や緊張が強いときには、ツボ押しも手軽に取り入れられるセルフケアの一つです。

例えば、手首の内側にある「内関(ないかん)」は自律神経を整えるとされ、不安や動悸を感じるときにやさしく押すことでリラックスしやすくなります※⁵。

強く押しすぎず、呼吸に合わせてゆっくり刺激することがポイントです。

 

日常の中で無理なく取り入れることが心身の安定につながります。

 

※⁵ 更年期の自律神経を整えるツボ

 

血糖値を安定させる食事

血糖値の急激な上下は、自律神経の乱れやイライラ、不安感を引き起こす要因の一つとされています。

甘いものや精製された糖質に偏るのではなく、たんぱく質や食物繊維を組み合わせて、ゆるやかな血糖コントロールを意識することが大切です。

1日3食の規則正しい食事のリズムを整えることは、心の安定につながります。

 

セロトニンを作る栄養の取り方

セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、心の安定に関わる神経伝達物質ですが、体内ですぐに増えるものではなく、日々の積み重ねが大切です。

特に朝はセロトニン分泌のスイッチが入りやすいため、朝食をとることが重要とされています。

材料となるトリプトファン(大豆製品・乳製品・バナナなど)に加え、ビタミンB群や鉄も必要です。

また、腸内細菌がセロトニンの産生に関わることも知られており、腸内環境を整えることも大切です。発酵食品や食物繊維を含む多様な食品を取り入れ、偏りのない食事を心がけることが、心の安定につながります。 

 

腸内環境を整える生活習慣

腸は「第二の脳」ともいわれ、心の状態と深く関わっています。

腸内環境が乱れると、自律神経やセロトニンの働きにも影響が出る可能性があります。

毎日の食事では、野菜・海藻類・きのこ類を意識して取り入れることで、腸内細菌のバランスを整えやすくなります。

また、インスタント食品や保存期間の長い食品などの超加工食品は添加物が多く、腸内環境を乱す一因になることもあります。

一度、普段口にしている食品を見直してみることも、やさしいケアの一歩になります。 

 

自律神経を整える生活習慣

自律神経は、血糖値やセロトニン、腸内環境、そして心の状態とも深く関わっており、体のバランスはすべてつながっています。そのため、どれか一つではなく、日々の生活全体を整えることが大切です。

特に朝日を浴びて1日をスタートすることは、体内リズムを整えるだけでなく、視覚・皮膚感覚・嗅覚・聴覚といった五感にも自然にスイッチを入れる働きがあります。

つい電気やスマートフォンに頼りがちな現代の生活の中で、意識して自然の光や静かな時間に触れることも、自律神経をやさしく休めるケアの一つです。

できることから少しずつ取り入れていきましょう。 

 

こうしたセルフケアを組み合わせながら、自分にあった整え方を見つけていくことが大切です。

 

受診を考えた方がよいサイン

 

セルフケアで整うことも多い一方で、症状が強い場合には無理をせず専門家に相談することも大切です。早めに頼ることは決して特別なことではなく、自分を守るための大切な選択です。 

 

強い不安で生活が難しい

不安感や気分の落ち込みが強く、外出や家事、人と会うことが難しいと感じる場合は、無理をせず専門機関に相談することが大切です。

がんばり続けることで、心や体の負担が大きくなることもあります。

早めに誰かに頼ることは、自分を守るための前向きな選択です。

 

気分の落ち込みが続く

気分の落ち込みや不安感が2週間以上続き、自然に回復しない場合は、専門的なサポートを検討するタイミングかもしれません。

更年期の影響だけでなく、心のバランスが崩れているサインであることもあります。

一人で抱え込まず、少しずつ外に目を向けることが安心につながります。

 

改善がみられない

受診先としては、婦人科・心療内科・精神科などが選択肢になります。

また、地域の保健センターでも相談が可能です。

すぐに医療機関へ行くことに不安がある場合は、まずは電話相談を利用するのも一つの方法です。

 

・こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556(平日9:00〜17:00)※⁶

 

・いのちの電話:0120-783-556(毎日16:00〜21:00)※⁶

 

話を聞いてもらうだけでも、気持ちが少し軽くなることがあります。 

 

※⁶電話相談窓口|困った時の相談方法・窓口|まもろうよ こころ

 

まとめ:更年期の不安感は正しいケアで整えることが大切

更年期の不安感は、ホルモンの変化や自律神経の乱れ、生活環境の変化が重なって起こる自然な反応です。本記事では、その原因や症状、食事・睡眠・生活リズムを整えるセルフケアについて解説しました。

大切なのは、不安を我慢せず、自分に合った整え方を見つけることです。

POWWOW整体サロンでは、更年期特有の不調に寄り添い、自律神経や体のバランスを整えるケアを提供しています。ひとりで抱え込まず、安心して頼れる選択肢の一つとして、ぜひご活用ください。

 

この記事のライター

大嶋 裕美子

大嶋裕美子

大学病院、内科クリニック、総合病院にて勤務し、入院患者さんや糖尿病患者さんの栄養指導の他、減量、食べ方の指導をおこなってきました。
現在は主婦として3人の子育てに奮闘しながら、現代社会の食環境について考えています。
管理栄養士 免許番号 127125
フードスペシャリスト 資格番号 0270053
未病栄養コンサルタント®︎