つわりで一日中気持ち悪い!漢方薬剤師が教えるスーパーで買える薬膳食材

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今回の記事では、東洋医学の考え方を用いて「つわり」の原因になる3つ体質をご紹介したいと思います。胃腸が悪かったり、ストレスが溜まっている方はつわりが起こりやすくなる傾向が・・。記事の後半では体質のチェックリストと体質別オススメ薬膳食材をご紹介していますので、是非最後までお読みください。

【つわりとは?】

つわりはしんどいですよね。仕事を休みがちになってしまったり、目の前で家族がご飯を美味しそうに食べているのを見ると気持ちもまいってしまいますね。

つわりはいつまで続くの?

気持ち悪いのが一日中続くと、「このしんどいつわりに終わりはあるのだろうか」と感じてしまいますよね。一般的につわりは妊娠5週目頃から12週~16週目頃まで起こるとされますが、個人差も大きいとされています。

ピークはいつ?

妊娠6週~9週あたりにもっとも強い症状が現れ、10週以降から徐々に治まっていくとされています。ひどい時は今まで良い匂いと感じていたシャンプーで吐き気を催したり、歯磨きも難しくなってしまう方もいらっしゃいます。

つわりのリスクってあるの?

「つわりがあるのは赤ちゃんが元気な証拠」「つわり症状が強いほど早産リスクが低下」とは言われていますが、つわりがひどくなりすぎるとリスクが発生します。ママと赤ちゃんそれぞれのリスクについてみていきましょう。

 

ママへの影響

つわりは妊娠時に生理的な反応として起こりますが、つわりにより食事や水分の摂取が全く出来なくなってしまった場合重篤な「悪阻」という状態に進行します。以下のような症状がある場合は早急に病院の受診をオススメします。

・脱水状態がある(手の甲をつまんで離したあと3秒以上戻らなかったら脱水が疑わしい)

・体重減少が甚だしい

・尿量の明らかな減少

病院では、脱水状態からの回復のための点滴やビタミン剤や吐き気止めの投与が行われます。

 

赤ちゃんへの影響

何も食べられない&吐いてばかりだと赤ちゃんへの影響がとても心配になりますよね。一般的に「つわりがあると赤ちゃんは大きく生まれ、重いつわり(悪阻)があると赤ちゃんは小さく生まれる」と言われていますが、栄養は赤ちゃんに優先的に運ばれますので大きな心配はしなくても大丈夫です。

 

【漢方で考えるつわりの3つの体質】

下につわりが起こりやすい3つの体質を挙げています。それぞれチェック項目があるので、どの体質が一番多く当てはまるかチェックしてみましょう。

胃腸が弱い-脾虚(ひきょ)体質

妊娠前から胃腸が弱い方はつわりが強くなる傾向にあります。昔から胃腸が弱いという方が多いですが、一時的に食べ過ぎたりしても胃腸に負担がかかり弱くなります。漢方用語で「脾(ひ)」は胃腸を表し、「虚(きょ)」は弱っているという意味を表します。

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□食欲がない

□軟便傾向

□痰が出やすい

□昔から胃もたれしやすい

□皮下出血や不正出血が多々ある

□筋肉がつきにくい

ストレスを抱えている-肝脾不和(かんぴふわ)体質

ストレスで胃が痛くなるという現象はみなさんご存じだと思いますが、胃はストレスと密接に関係した臓器と言われています。漢方的に言うと、ストレスが溜まると「肝(かん)」がやられ、肝と相関関係にある「脾(ひ)」が影響を受けてしまうという状態になります。

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□ゲップやガスが良く出る

□緊張しやすい

□同じ場所が痛む

□乳房の張りがきつい

□イライラしている

□喉につまり感がある

内臓冷えている-陽虚(ようきょ)体質

「陽(よう)」は太陽の陽で「あたためる力」をさします。「虚(きょ)」は不足を表します。つまり、あたためる力が弱まっているという冷え症体質です。ただ、冷え症といっても足だけが冷えているという方も多くいらっしゃいます。今回はつわりに影響を与える「足のみならず内臓から冷えている体質」をチェックしてみましょう。

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□とにかく全身が寒い

□薄い尿が多い

□顔が白いとよく言われる

□軟便傾向

□妊娠前の月経周期が長かった

□クーラーに当たったり冷えると体調を崩す

 

いかがでしょうか?

全部当てはまっているという方もいると思います。そんな方は以下にあげる全てのタイプの養生法をバランスよく実践していきましょう。

 

タイプ別!つわりを緩和する漢方的養生法

つわりに良いとされるスーパーで手に入る薬膳食材や避けるべき食材をご紹介します。匂いが受け付けない食材は無理に食べなくても大丈夫です。まずは食べられるものからやっていきましょう。

脾虚さん養生法

胃が弱い方は妊娠中でなくても吐き気を催すことが多くあります。心当たりはないでしょうか?漢方では、胃の弱い方は胃がむくみやすく、胃に溜まった水を外に出そうとする反応として吐き気が起こると考えます。そして、妊娠によって体に水を溜め込む傾向がさらに強まるため吐き気も強くなるという仕組みです。よって脾虚さんは胃腸に負担をかけない食事を心がける必要があるのです。

 

オススメの飲み物:生姜のしぼり汁をといたぬるま湯

オススメの食材:米、芋類、キャベツ、タラ、トウモロコシ、いんげん、鶏肉、ねぎ

避けてほしい食材:コーヒー(デカフェ含む)、冷たい飲み物

生活の仕方:食事は一度に多く食べず、少量を何回かにわける

 

肝脾不和さん養生法

妊娠中は心身共に体調が崩れやすくなり、思うように生活できなくなることでストレスがかかりやすい時期とも言えます。この時期は「頑張らない」「人に頼る」ことを頑張りましょうね。ママの重要な役割でもありますよ。以下にストレスの発散を手伝う食材をご紹介します。

 

オススメの飲み物:ジャスミン茶

オススメの食材:そば、大根、かぶ、大葉、エンドウ豆、らっきょう、柑橘類

避けてほしい食材:脂っこい物

生活の仕方:気分転換に散歩をすることを心がける

 

陽虚さん養生法

陽虚さんは早急に対処する必要があります。一般的に妊娠中は体温が上がることで妊娠が維持されます(黄体ホルモンの影響)。従って冷えは妊娠の大敵なのです。また、漢方では、胃が冷えると吐き気が出ると言われています。胃が冷えている方は胃を温める必要があるのです。以下に体をあたためる食材をご紹介します。

 

オススメの飲み物:紅茶

オススメの食材:くるみ、エビ、ニラ、ピーマン、黒砂糖、アジ、サケ、香辛料、加熱した生姜

避けてほしい食材:セロリ、きゅうり、水菜、トマト、ゴーヤ、生レンコン、バナナ、スイカ、ナス、緑茶、生もの

生活の仕方:レッグウォーマーなどを活用し体を冷やさない。筋肉量が減るとさらに冷えるので軽い運動をする。

 

注意)共通して妊娠中は避けるべき食材

・加熱が不十分な食材:生ハム、ナチュラルチーズ、スモークサーモン

・ビタミンAの多い食材:ウナギ、レバーは週に1回程度に控える

・土がついているものはよく洗う(リステリア菌の母子への感染予防)

 

まとめ

一日中気持ち悪いと心身共に参ってしまいますよね。つわりの出方が人それぞれあるのは、体質が関係していると言われています。胃の弱い「脾虚さん」、ストレスの強い「肝脾不和さん」、体の冷えが強い「陽虚さん」がつわりの原因体質として漢方で考えられています。それぞれの対策法も変わっていきますので、自分に合った養生法を見つけてくださいね。食事の用意が難しい方は漢方薬を頼るのもひとつの手ですが、まずは自分でできることから始めてみましょう。ちなみに、漢方は自己判断で買わないようにしてくださいね。あくまで漢方薬は薬なので漢方専門薬局に相談してくださいね。

この記事のライター

田村 さやか

田村さやか

薬剤師(漢方・西洋医学)
国立循環器病研究センターで遺伝子研究に従事したのち、ミツバチ製品の開発に携わる。
その後、神奈川県の調剤薬局にて薬剤師として長年勤務。
そんななか、西洋医学的な対症療法だけでなく「未病」の必要性を強く感じ、東洋医学の啓蒙活動を開始。
現在は神奈川県にて漢方・西洋医学・栄養療法を融合させた患者様の気持ちファーストの健康相談をおこなう。
薬剤師 免許番号 426254
看護師 免許番号 1764491
保健師 免許番号 238137
助産師 免許番号 134348