つわりで休むのは甘えじゃない!体調優先の働き方と正当な休暇の取り方
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妊娠初期に多くの女性が経験する「つわり」は、吐き気やだるさなどの症状があり、体に大きな負担をかけます。これによって、普段のように仕事をするのが難しくなることがあります。たとえば、通勤中に気分が悪くなったり、仕事中に集中できなくなってミスが増えることも。また、無理をして働き続けると、体調がさらに悪くなり、母体や赤ちゃんに悪い影響を与えることもあるのです。
しかし、「つわりで仕事を休むと、甘えだと思われるかもしれない」と心配して、頑張って働き続ける女性も少なくありません。ですが、つわりで休むことは甘えではなく、自分と赤ちゃんの健康を守るためにとても大切なことです。
この記事では、つわりで仕事を休むことがなぜ「甘え」ではないのか、そして職場で休みを取るときにどうすればいいのかをわかりやすく説明します。体調を優先しながら無理なく働くための方法を学んで、安心して仕事と妊娠生活を両立させましょう。
つわりで休むことが甘えではない理由
つわりは、妊娠中にホルモンバランスが変わることで起こる自然な体の反応です。妊娠初期に多くの女性が経験するもので、症状には吐き気や倦怠感、場合によっては嘔吐などがあります。これらの症状は、体が赤ちゃんを育てるために必要なホルモンを増やす過程で起こるため、自分の意思でコントロールできるものではありません。
つわりの症状は個人差があり、軽い吐き気で済む人もいれば、仕事どころか日常生活すら困難になるほど重い症状を抱える人もいます。特に、重度のつわりの場合は「妊娠悪阻(にんしんおそ)」という状態になり、入院が必要になることがあります。
妊娠悪阻(にんしんおそ)は、通常のつわりよりも症状が重く、吐き気や嘔吐が激しくなり、食事や水分をほとんど摂れなくなる状態です。このため、体重が急激に減少したり、脱水症状を引き起こすことがあります。妊娠悪阻が進行すると、栄養不良や電解質のバランスが崩れ、母体の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、医師の判断で入院して治療を受ける必要が出てきます。
このように、つわりを無理して働き続けると、症状が悪化し、母体や赤ちゃんの健康に悪影響を与える危険性が高まるのです。
また、つわりはただの「気分の問題」ではなく、体に実際に起こる不調です。例えば、通勤中の満員電車での吐き気や、職場でのにおいでさらに気分が悪くなることもあります。こうした体調不良が続く中で無理をして仕事をすることは、集中力が落ちてミスが増えたり、体力が消耗して症状がひどくなってしまう可能性もあります。
このため、つわりが辛いときに仕事を休むことは、自分と赤ちゃんの健康を守るために必要な選択です。休むことに罪悪感を感じる必要はなく、体が休息を求めているサインに従い、無理をせず体調を優先することが大切です。
つわりの症状が仕事に与える影響
つわりの症状には、吐き気やだるさ(倦怠感)、食欲不振、そしてにおいに敏感になることがあります。これらは、特に働く女性にとって大きな負担となり、仕事に影響を与えることがよくあります。
通勤中の吐き気や疲れ
朝、通勤する途中で吐き気を感じることがよくあります。満員電車や車、バスに乗っていると、つわりがひどくなり、職場に着く前にすでに疲れ果ててしまうことも。朝から体力を消耗してしまうと、その後の仕事もきつくなります。
集中力の低下
つわりのだるさや吐き気が続くと、仕事に集中するのが難しくなります。普段なら簡単にこなせる作業でも、集中できなくてミスが増えたり、時間がかかってしまうことがあります。また、長時間動きっぱなしの仕事や、逆に長時間座っていること自体がしんどくなり、仕事の効率が下がることもあります。
においの影響
つわり中は、においに敏感になります。職場の昼食や同僚の香水のにおい、コピー機のインクなど、普段は気にならないにおいが原因で気分が悪くなることがあります。これによって、つわりがさらにひどくなる場合もあり、仕事に集中できなくなります。
こうした症状が続く中で無理に働き続けると、体調が悪化することがあります。自分の体調を大事にして、無理のない働き方を見つけることが大切です。
「つわり休暇」の法的保護と取得方法
日本には「男女雇用機会均等法」という法律があり、妊娠中の女性がつわりなどの体調不良を理由に仕事を休むことが認められています。これは、すべての働く女性に与えられた権利で、医師や助産師の指導に基づいて休暇を取得することができます。企業のルールに関係なく、法律として守られているので、安心して休暇を申請できます。
母性健康管理指導事項連絡カード
つわりで休暇を取る際には、医師や助産師から「母性健康管理指導事項連絡カード」を発行してもらうことができます。このカードは、医師が書いたあなたの体調に関するアドバイスや指導内容を会社に伝えるためのもので、これを職場に提出することで、正式に休暇を申請することができます。このカードがあれば、会社はあなたの体調に応じた対応を取る必要があり、つわりでの休暇が認められます。
休暇中の賃金について
つわりで休む場合、多くの場合、休暇中は無給となります。ただし、無給であっても、健康保険に加入している場合は「傷病手当金」を申請することができ、この手当を受け取ることで休んでいる間も収入の一部が補償されます。これにより、つわりで休んでも金銭的な不安が軽減されます。
つわりで仕事を休むのは、法律で守られた権利です。体調が優れないときは無理をせず、医師のサポートを受けて、必要な休暇をしっかり取ることが大切です。
職場での適切な報告とサポートの受け方
つわりの症状が仕事に影響を与えるようになったら、早めに上司や人事部に相談しましょう。つわりの辛さは見た目では分かりにくいため、周りには理解されにくいことがあります。そのため、どんな症状が出ていて、どれくらい働きづらいかを正直に伝えることが大切です。
医師の指示を活用する
つわりがひどくて仕事に支障が出る場合は、医師や助産師に相談し、「母性健康管理指導事項連絡カード」や診断書をもらいましょう。これを会社に提出すれば、あなたの体調に基づいて仕事を調整する必要があることを正式に伝えることができます。医師の指示があると、職場も状況を理解しやすくなります。
柔軟な働き方の相談
つわりが辛いときは、今までと同じペースで働くのが難しいこともあります。例えば、休憩時間を増やしてもらったり、通勤ラッシュを避けるために「時差通勤」をお願いすることができます。もし可能なら、在宅勤務の導入を相談することも良い方法です。こうした柔軟な働き方を取り入れることで、無理なく仕事を続けられる環境を作ることができます。
職場としっかり話し合い、サポートを得ることで、体調を優先しながらも安心して仕事を続けられるようになります。
つわり中でも無理なく仕事を続けるための工夫
つわりの症状が比較的軽い場合でも、体調に合わせた工夫をすることで、無理なく仕事を続けることができます。以下のポイントを参考にしてみてください。
空腹を避ける
空腹になると、つわりの症状が悪化することがよくあります。そのため、1日に少量の食事を5〜6回に分けて摂ると、気分が安定しやすくなります。仕事中でも、軽食や飴をポケットやデスクの引き出しに入れておき、いつでも少しずつ食べられるようにしておきましょう。空腹感を感じないようにすることで、吐き気を和らげることができます。
におい対策
つわり中はにおいに敏感になることがあります。職場で周りのにおいが気になるときは、マスクに自分の好きな香りをつけると、不快感を軽減できる場合もあります。また、オフィスや自分のデスク周りをこまめに換気することで、空気を入れ替え、つわりを和らげることができます。においの気になる場所からは、できるだけ距離を取るのも一つの方法です。
休憩をこまめに取る
つわり中は長時間座り続けるのが辛くなることがあります。そんなときは、無理せずにこまめに休憩を取りましょう。動き続ける仕事なら少しの間でも座って休んだり、座りっぱなしの仕事なら少し席を立って体を動かしたり、深呼吸をしてリフレッシュするだけでも、体が軽く感じられることがあります。つらさが強い時は、周りに事情をを話して少しでも横になったり、無理せず早退することも大切です。定期的に短い休憩を入れることで、体への負担を軽減しながら、仕事に取り組むことができます。
これらの工夫を取り入れることで、つわり中でも無理をせず、自分のペースで仕事を続けやすくなります。
体調優先の働き方と心のケアの重要性
つわり中に無理して働き続けることは、母体と胎児に大きな負担をかける可能性があります。体調を優先しながら、仕事と健康のバランスを取ることが大切です。次のポイントを意識して、無理なく働きましょう。
無理をしない
つわりがひどいときは、無理せず休むことが必要です。体調が悪いまま無理に働くと、さらに状態が悪化することもあります。つわりは一時的なものなので、体調が回復すればまた仕事に集中できる時期がきます。焦らず、自分のペースを大切にしながら体を休めましょう。
精神的なサポートを受ける
つわりで仕事を休むことに、罪悪感を感じる必要はありません。むしろ、体調が悪いときに休むのは、自分と赤ちゃんのために大切なことです。周囲のサポートを受けることをためらわず、医師やパートナー、同僚に相談して気持ちを軽くしましょう。精神的なサポートは、心身の健康を保つためにとても大切です。
適切なケアを取り入れる
つわり中は、食事や体調管理に気を使うだけでなく、心のケアも大事です。たとえば、食事を小分けにして取ったり、無理せず体を休める工夫をすることが効果的です。また、家族や友人に悩みを話したり、気分転換を図ることで、心の負担を軽くすることもできます。精神的なサポートを得ることで、心に余裕を持って妊娠生活を送ることができます。
自分の体調と気持ちをしっかりケアすることが、元気に仕事を続けるための鍵です。無理せず、サポートを受けながら、体調を最優先にした働き方を心がけましょう。
まとめ
つわりで仕事を休むことは、決して甘えではなく、自分と赤ちゃんの健康を守るために必要なことです。つわりの症状は人それぞれ違い、無理をすると体調がさらに悪くなることがあります。体調が優れないときは、つわり休暇を取ることを考えましょう。
また、職場でサポートを受けながら、無理のない働き方をすることも大切です。体調に合わせて、無理せず自分のペースで仕事を続ければ、健康と仕事を両立することができます。まずは自分と赤ちゃんの健康を優先し、安心して過ごせる選択を大事にしてください。
つわりで悩んでいる方は、無理せず医師に相談して、休暇や職場での対応について話し合ってみましょう。体調を守りながら働けるよう、必要なサポートや対策をしっかりと取りましょう。
この記事のライター
看護師
1999年 看護師免許取得し、国立療養所富士病院に看護師として入職
2005年 富士宮市立病院に入職 循環器内科、呼吸器内科など多くの科を経験 (他、消化器内科、脳外科、心臓カテーテル室、内視鏡室)
2008年 呼吸療法認定士取得
2022年 子育てとフルタイム勤務の両立に悩み、退職
2022年 退職後 内視鏡クリニックとデイサービスの非常勤で働きながら フリーランスの看護師として活躍開始 webライター、セミナー講師などで活躍中 看護師の自由な働き方についてSNSで情報発信している