妊娠中でも安心!偏頭痛の原因と効果的な痛みの和らげ方と予防法
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妊娠中は、体内で大きなホルモンの変化が起こるため、体調が変わりやすくなります。特に偏頭痛がひどくなる女性も多く、強い痛みに悩まされることがあります。
しかし、妊娠中は使える薬が限られているため、痛みをどうやって和らげればいいのか不安に思う方も多いでしょう。
妊娠中は赤ちゃんの健康を最優先に考えたいものの、偏頭痛が続くと、仕事や日常生活にも大きな影響を与えてしまうことも少なくありません。さらに、痛みを我慢し続けることでストレスが溜まり、それが体に悪影響を与えることもあります。そのため、妊娠中でも安全に痛みを和らげる方法や、薬を使わずにできる予防法を知っておくことがとても大切です。
この記事では、妊娠中の偏頭痛の原因や特徴を詳しく説明し、妊娠中でも安心して実践できる効果的な対処法や予防策を紹介します。偏頭痛に悩む妊婦さんが、少しでも快適な毎日を過ごせるように役立つアドバイスをお届けします。
妊娠中の偏頭痛の特徴
妊娠中の偏頭痛は、女性ホルモンの変化が大きく関係しています。妊娠すると、エストロゲンやプロゲステロンといったホルモンが急に増えたり減ったりします。このホルモンの変化が、脳の神経や血管に影響を与えるため、偏頭痛が起こりやすくなるのです。
特に、妊娠初期(妊娠1〜3ヶ月)や中期(妊娠4〜6ヶ月)は、体の変化が大きいため、偏頭痛が頻繁に起こることがあります。妊娠前から偏頭痛を持っていた人は、妊娠中に痛みが強くなることもあります。しかし、妊娠後期(妊娠7〜9ヶ月)になると、ホルモンのバランスが安定してくるため、偏頭痛が軽くなる人が多くいます。体が妊娠中のホルモンに慣れてくるからです。
一方で、出産後には再びホルモンバランスが急激に変わるため、偏頭痛が出産後1ヶ月以内に再発することも少なくありません。出産後はホルモンの分泌が急に減少し、体が新しい状態に適応しようとするため、再び偏頭痛が現れることがあります。
偏頭痛の症状としては、こめかみや額がズキズキと脈打つような痛みや、吐き気、嘔吐、光や音に敏感になるといったものが典型的です。妊娠中にこれらの症状が続くと、体力が奪われて疲れやすくなり、日常生活や仕事に大きな影響が出てしまうこともあります。
妊娠中の偏頭痛の原因
妊娠中に偏頭痛が起こりやすい主な原因は、ホルモンの急激な変化です。妊娠すると、体内ではエストロゲンやプロゲステロンというホルモンが大量に分泌されます。これらのホルモンは、妊娠を維持するために必要なものですが、急激に増減することで体に影響を与えてしまうのです。特にエストロゲンの変動が、脳の神経を刺激しやすくし、これが偏頭痛の引き金になることがあります。エストロゲンが安定していれば偏頭痛を抑える効果がありますが、妊娠中はホルモンのバランスが崩れやすく、痛みを引き起こす要因となります。
また、妊娠中は血液の量が増えるため、血流が活発になります。血液が増えることは胎児の成長に必要なことですが、その一方で、母親の脳の血管は膨張し、圧力がかかることで、偏頭痛が起こることがあります。特に脳の血管が圧迫されると、脈打つような痛みを感じることが多いです。
さらに、体内の水分量が増加することも、偏頭痛の原因となることがあります。妊娠中は水分を多く必要とするため、少しでも水分不足になると、脱水状態になりやすくなります。脱水になると血流が悪くなり、脳の血管に負担がかかり、これが偏頭痛を引き起こす原因になるのです。
加えて、ストレスや睡眠不足、栄養バランスの乱れも偏頭痛を悪化させる原因です。妊娠中は、体が普段と違う状態になり、ストレスを感じたり、寝つきが悪くなったりします。また、食事のバランスが崩れることも多く、これらが偏頭痛の症状を悪化させることがあります。
妊娠中に安全な痛みの和らげ方
妊娠中に偏頭痛が起こったとき、薬を使わずにどのように痛みを和らげるかが気になるところですよね。これからお伝えする方法は、妊娠中でも安全に取り入れられる偏頭痛の対処法です。無理をせず、自分に合った方法で少しでも痛みを軽減できるようにしてみてください。
アセトアミノフェンの使用
妊娠中に使える安全な鎮痛剤としてよく使われるのがアセトアミノフェンです。この薬は軽い痛みから中くらいの痛みまで効果があり、妊娠中でも比較的安全だとされています。他の痛み止め(例えば、イブプロフェンやアスピリン)は、妊娠中には避けるべき薬もありますが、アセトアミノフェンは医師の指導を受けた上で使うことが可能です。
大事なのは、必ず医師に相談してから使うことです。適切な量や使い方を守ることで、安心して痛みを和らげることができます。
冷却療法
偏頭痛が起きたとき、冷却療法は簡単にできる対処法の一つです。冷たいタオルや保冷剤を、こめかみや額に当てることで、血管が収縮し、痛みが和らぐ効果があります。冷やすことで、脳に流れる血流が安定し、ズキズキした痛みを軽減するのに役立ちます。
この方法は、家でも手軽にでき、すぐに試せるため、痛みが強くなりそうなときに使うのがおすすめです。冷やす時間は5~10分が目安です。冷やすものが直接肌に触れないように、タオルで包むと安心です。
水分補給
脱水状態になると偏頭痛が起こりやすくなります。妊娠中は体が普段よりも多くの水分を必要としているため、こまめな水分補給が大切です。脱水を防ぐことで、偏頭痛が起こる回数を減らせることがあります。
目安として、1日に1.5〜2リットルの水を飲むように心がけましょう。水やカフェインを含まない飲み物がおすすめです。水分が不足していると血液がドロドロになり、脳に十分な血流がいかなくなるため、頭痛を予防するためにも水分補給は重要です。
休息とリラクゼーション
偏頭痛がひどくなったときは、静かで暗い場所で休むことが一番効果的です。光や音に敏感になりやすいため、刺激の少ない環境で横になることで痛みが和らぎます。無理をせず、まずは体を休めましょう。
また、ツボ押しも偏頭痛の緩和に役立ちます。例えば、頭のてっぺんにある「百会(ひゃくえ)」や、首の後ろの「天柱(てんちゅう)」というツボを軽く押すことで、血流が良くなり、痛みが和らぐことがあります。自分で簡単にできるので、休んでいる時に試してみると良いでしょう。
漢方薬
妊娠中に使える漢方薬も、偏頭痛を和らげる方法の一つです。例えば、「五苓散(ごれいさん)」という漢方薬は、体の水分バランスを整える効果があり、むくみや頭痛を改善することがあります。妊娠中に水分が体にたまってしまうことで起こる偏頭痛に、効果が期待できる漢方薬です。
ただし、漢方薬は人によって効果が異なるため、自己判断で使わず、必ず医師や漢方の専門家に相談してから使用することが大切です。妊娠中に使っても安全かどうかの確認が必要です。
偏頭痛予防のための生活習慣
妊娠中の偏頭痛を防ぐためには、普段の生活習慣を整えることがとても大切です。生活の中で少し意識を変えるだけで、偏頭痛を予防し、妊娠中の体調を安定させることができます。ここでは、取り入れやすい予防策を紹介します。
規則正しい睡眠
良い睡眠を取ることは、偏頭痛を防ぐためにとても重要です。睡眠不足や寝すぎることは、偏頭痛を引き起こしやすくなるため、毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる規則正しい生活リズムを心がけましょう。
リラックスして眠れる工夫も大事です。例えば次のような工夫をしてみるのが効果的です。
- 寝る前に温かいハーブティーを飲む(カフェインがないものがおすすめ)
- お風呂に入って体を温める
- 軽いストレッチで体をほぐす
- スマートフォンやテレビを早めに切って、光の刺激を避ける
これらを習慣にすることで、眠りに入りやすくなり、体をしっかり休めることができます。
栄養バランスの取れた食事
バランスの良い食事は、偏頭痛を予防するためにとても効果的です。特に妊娠中は栄養不足が原因で体調を崩しやすくなるので、しっかりと栄養を摂ることが大切です。以下で偏頭痛予防に効果的な食べ物を紹介します。
- マグネシウム:筋肉や神経の働きをサポートし、偏頭痛を和らげる効果が期待できます。ナッツ(アーモンドやカシューナッツ)、バナナ、ほうれん草などに多く含まれています。
- ビタミンB2:体のエネルギー代謝を助け、偏頭痛を予防します。卵、魚、乳製品、緑の野菜などが良い食材です。
一方で、偏頭痛を引き起こす可能性のある食べ物もあります。以下の食品は控えるようにしましょう。
- チョコレートやカフェイン(コーヒーや紅茶):これらは頭痛の原因になることがあるので、できるだけ控えめにしましょう。
- 加工食品(インスタント食品やスナック):保存料や添加物が含まれているため、頭痛を悪化させる可能性があります。
できるだけ新鮮な食材を使った料理を意識し、偏頭痛を防ぐ食事を心がけましょう。
妊娠中の偏頭痛予防
出産後の偏頭痛管理
出産後は、ホルモンバランスが再び大きく変わるため、偏頭痛が再発することがあります。特に、出産後の体は疲れている上に、育児によるストレスや睡眠不足も重なり、偏頭痛がひどくなることもあります。出産後も引き続き、偏頭痛をうまく管理することが大切です。ここでは、授乳中に使える薬や生活習慣について説明します。
授乳中に使える薬
授乳中に偏頭痛が起きたとき、薬を使って痛みを抑えることもできます。アセトアミノフェンは授乳中でも比較的安全とされる薬です。母乳を通じて赤ちゃんに影響が出にくいので、軽~中程度の痛みに効果的です。ただし、薬を使う前に必ず医師に相談し、どのくらいの量を使えばいいのかを確認しましょう。
また、薬を飲むタイミングも工夫できます。例えば、授乳が終わったあとに薬を飲むと、次に授乳するまでに時間が空くので、赤ちゃんに薬の影響が及ぶリスクが減ります。このように、少しの工夫で薬の影響を最小限に抑えることができます。
生活習慣の継続
出産後も、妊娠中と同じように健康的な生活習慣を続けることが大切です。特に、偏頭痛を予防するためには、規則正しい睡眠と栄養バランスの取れた食事が欠かせません。
出産後は赤ちゃんのお世話で夜に何度も起きることがあるため、睡眠不足になりやすいですが、できるだけ体を休めるように心がけましょう。できれば家族にサポートしてもらいながら、昼間に少しでも横になる時間を作れるとベストです。無理をせず、休めるときにしっかり休むことが大切です。
食事も、妊娠中と同じように栄養バランスを意識することが重要です。特に、マグネシウムやビタミンB2を含む食材(ナッツ、緑の野菜、乳製品など)は、偏頭痛の予防に効果があるので、積極的に取り入れましょう。
リラクゼーション法
出産後も、リラックスできる方法を取り入れることで、体と心のバランスを保ち、偏頭痛を防ぐことができます。育児で忙しい中でも、ちょっとした時間を使って、気持ちを落ち着かせる時間を持つことが大切です。
例えば、軽いストレッチや深呼吸、瞑想は、場所を選ばずに手軽にできるリラクゼーション法です。体を軽く動かしたり、深く息を吸って吐くだけでもリフレッシュできます。また、ツボ押しも効果的です。「百会(ひゃくえ)」や「天柱(てんちゅう)」というツボを優しく押すことで、血行が良くなり、リラックスできます。ツボ押しは自宅で簡単にできるので、育児の合間に試してみてください。
また、自分が楽しめる時間を少しでも持つことも大切です。家族に赤ちゃんを預けて、趣味や好きなことを楽しむ時間を作ることが、ストレスを減らし、偏頭痛の予防にも役立ちます。
まとめ
妊娠中の偏頭痛は、ホルモンバランスの変化や生活習慣によって起こりやすく、生活に大きな影響を与えることがあります。しかし、妊娠中でも安全に痛みを和らげたり、予防する方法を知っていれば、無理なく偏頭痛に対処し、日々の生活を快適に保つことができます。
例えば、アセトアミノフェンは、妊娠中でも使える安全な薬の一つです。また、薬を使わなくても、冷却療法(冷たいタオルや保冷剤を使って頭を冷やす)や、こまめな水分補給、静かな場所での休息など、簡単にできる方法で痛みを和らげることができます。
さらに、偏頭痛を防ぐためには、規則正しい生活が大切です。毎日決まった時間に寝起きして、バランスの良い食事をとりましょう。特に、ナッツや緑の野菜など、マグネシウムやビタミンB2を多く含む食べ物を意識して摂ることが、偏頭痛予防に効果的です。また、ストレスも偏頭痛の原因になるので、リラックスできる時間を作り、心身のストレスを減らすことが大切です。ヨガや深呼吸など、簡単にできるリラックス法を取り入れてみてください。
出産後も、ホルモンバランスの変化で偏頭痛が再発することがありますが、妊娠中に実践していた生活習慣を続けることで、痛みを防ぐことができます。授乳中の薬についても、医師に相談しながら安全に使用できるものを選びましょう。
偏頭痛に悩んでいるときは、無理をせず、自分に合った方法で対処していくことが大切です。医師と相談しながら、痛みの管理や予防をしっかり行い、妊娠中や出産後の生活を少しでも楽に、快適に過ごせるようにしましょう。
この記事のライター
看護師
1999年 看護師免許取得し、国立療養所富士病院に看護師として入職
2005年 富士宮市立病院に入職 循環器内科、呼吸器内科など多くの科を経験 (他、消化器内科、脳外科、心臓カテーテル室、内視鏡室)
2008年 呼吸療法認定士取得
2022年 子育てとフルタイム勤務の両立に悩み、退職
2022年 退職後 内視鏡クリニックとデイサービスの非常勤で働きながら フリーランスの看護師として活躍開始 webライター、セミナー講師などで活躍中 看護師の自由な働き方についてSNSで情報発信している